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Japanische Klassiker mit Furigana

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ウニデスちょうりゅうのかなた

橘外男ワンダーランド 幻想・伝奇小説篇

橘 外男

Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 幻想・伝奇小説篇 (ウニデスちょうりゅうのかなた) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 247.361 Zeichen · 483 Bildschirme

Aozora Bunko

「では太子殿下が亜米利加へいらっしゃるのでしたら、あなたもやはり亜米利加へおいでになりますか?」と不躾だとは思ったが私が聞いてみたら別に否みもせずに、「ええ」とキャゼリン嬢は羞ずかしそうに微笑んだ。その態度が別段悪びれもせずあくまでも自分の恋に忠実ならんとする様子がありありと面に溢れているだけ私は、何ともいえぬ気の毒な気持がした。カ氏はこの恋を業だと評したが、いつ自分に好意を持ってくれるともわからぬ兄を殺した異国の王子の後を慕って淋しい女の身で流浪の旅をどこまでも重ねてゆこうとしているこの婦人の恋を、私もまったく業だと感ぜずにはいられなかった。そしてあまりの気の毒さで、どんな事情があるのかは知らないが、これだけの優雅な典麗な美婦人の純真な恋になぜ太子は面を背けていられるのであろうかとつくづくそれを淋しく感ぜずにはいられなかったのであった。

やがて車が来て、「またお眼にかかります」とキャゼリン嬢の立ち去った後で、私もまた明朝を約して、暇を告げたが樹木の多い霊南坂付近の家々はもうすっかり深い眠りに就いてしまったと見えて、ただ遥かの高台の首相官邸や書記官長邸と覚しきあたりから煌々と木立ち越しに電灯の光が洩れているばかりであった。