Japanische Klassiker mit Furigana
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ウニデスちょうりゅうのかなた
橘外男ワンダーランド 幻想・伝奇小説篇
橘 外男
Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 幻想・伝奇小説篇 (ウニデスちょうりゅうのかなた) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 247.361 Zeichen · 483 Bildschirme
ことごとく既定の計画だったのです! 卑怯な! なんという卑怯至極なやり方でしょう!」とジャヴェリとカ氏はハラハラと落涙した。「船中で……英国船の船中で船医に命令すればいかなる真似でもできます。シャアが感染するほど激烈な脳脊髄膜炎ならば、なぜ同行の大使館員二人には染らないのでしょう! これでは殿下は死んでも死に切れません! いいや殿下は我慢なさっても我々印度人にはもう我慢がならないのです」
途端に並いる印度人一同の間から歔欷の声が洩れた。そしてその時誰かが、
「MR・タチバナどうぞこちらへ」と私の席を作ってくれた。その席に立ってそして黒リボンに飾られた壁上の太子を見上ぐれば、それは生ける日のごとく眼は美しく、唇は微笑んで「MR・タチバナ、あなたは私を覚えていて下さるか?」とあの英国大使館で別れる時に微笑まれた在りし日の俤そのままであった。聡明なる太子はすでにもはやあの時自己の運命の帰趨は充分に悟っていられたのではなかったろうか? 見上げている私の眼にも熱い熱いものがたぎり立ってきた。
「殿下、私も私の命ある限り決してあなたを忘れはいたしません」と私は心のうちで繰り返しつつ、いつまでも肖像を見上げて突っ立っていたのであった。