Japanische Klassiker mit Furigana
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ウニデスちょうりゅうのかなた
橘外男ワンダーランド 幻想・伝奇小説篇
橘 外男
Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 幻想・伝奇小説篇 (ウニデスちょうりゅうのかなた) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 247.361 Zeichen · 483 Bildschirme
明けても暮れてもただ強い西風と船の軋む音ばかり! およそ何日くらいをこの暴風圏内に過ごしたことであろうか! やがて風向きが変って東風になってきたと思う頃に、今度は次第次第に濃い霧が艦の周囲を漂い出してきた。五十度を越えて、もはや濃霧圏内へ突人してきていたのであった。
もし潮流がこのまま南下を続けてゆけば、旋回しつつも艦はここ十日間くらいのうちには、厭でも応でも流氷圏の中へ突き進んでいって、我々の上には氷の死が冷やかに訪れてくるだけのことであった。憂鬱な日々を送りつつも、我々はいよいよ旬日の彼方に死が手ぐすね引いているのを覚えずにはいられなかったのであったが、不思議なことにはこの辺から潮流はまことに奇妙な迷走形を取ってきたのであった。南下せず、急に東へ向って流れるかと思えば、また北走し二、三日北走を続けるかと思えば、また南下し、さながら迷路のごとき形を取って流れているのであった。その間あるいは烈しい濃霧に鎖され、急に強い西風の暴風雨に変り……かと思えばまた東風に艦は旋回しつつ、あるいは東に南に北へ、あるいは西へと波のまにまに揉まれ抜いているのであった。