Japanische Klassiker mit Furigana
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ウニデスちょうりゅうのかなた
橘外男ワンダーランド 幻想・伝奇小説篇
橘 外男
Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 幻想・伝奇小説篇 (ウニデスちょうりゅうのかなた) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 247.361 Zeichen · 483 Bildschirme
あまりにも大きな衝撃の連打を受けると、昏迷の極にかえって胆が坐って、限りある人の神経はもはやどうにでもなれ! と行き着くところまで行き着いてしまうのかも知れぬ。この晦冥な天地と耳を圧する轟音の中で、ほとんど死んだもののごとくになって、夢のようにうつつのように、痴呆者のように、我々は十幾時間を、そして幾十時間を眠り続けていたものであろうか。
「島が見えるぞう! おおい、みんな出て見ろ! 陸地に着いたぞう!」そしてバタバタと甲板を駆け廻って、心も漫に躍り狂うような靴音!
「みんな出て来おい! 人家が見えるぞう!」泣き声を振り搾るような喚き声! ……それらのものが一時にごっちゃに耳を打って、ハッとして飛び起きた。なんという静謐さ! なんというなごやかな天と波……。
あの凄まじい狂瀾も轟音も、ついさっきまでまだ夢のように、うつつのように、耳許になりはためいていたのに、今眼の前に見る景色のなんという打って変った穏やかさ! 夢に夢見るような気持で、ただ茫然と我々は自分の眼を疑いながら、あまりにも美しいその景色に見惚れずにはいられなかった。
数十日、我々の上に重苦しくのしかかっていた、あの暗灰色の空、晦冥の天気……まったくそれは、隈なく晴れ渡って、空にも雲の影一つなかった。