Japanische Klassiker mit Furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 146.773 Zeichen · 294 Bildschirme
しかし、最後に、
(もし乳母やの来るのが、今日でなくて昨日だったとしたら、どうだろう。今度の母さんのことを、さっきのように乳母やが悪く言うのを、自分は、果して、味方を得たような気にならないで聞いていられただろうか。)
と、考えた時に、彼は今更のように、きょうの学校での出来事を思いおこし、何か厳粛な気持にさえなるのだった。
同時に、彼は、お浜が自分を意気地なしだと言って、一途に腹を立てているのが、あわれに悲しいことのように思えて来た。
「乳母や――」
と、彼は、お浜の方に手をのばして、その腕を握りながら、
「乳母や、おこってる?」
「…………」
お浜は返事をしないで、またため息をついた。
「乳母やは、僕が可愛いんだろう。」
次郎に握られたお浜の腕が、ぴくっと動いた。しかし、やはり返事がない。
「ね、可愛いんだろう。ちがう?」
「坊ちゃん――」
と、お浜はいきなり次郎を自分の方に引きよせて、
「坊ちゃんは、どうしてそんなことを乳母やにおききになるの?」
「ほんとうに可愛いんなら、僕、乳母やに言うことがあるからさ。」
「そりゃあ。可愛いんですとも、可愛いんですとも。乳母やがこんなにおこったりするのも、坊ちゃんが可愛いからですわ。