Japanische Klassiker mit Furigana
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きゅうこんさんじゅうし
求婚三銃士
佐々木 邦
Lesen Sie 求婚三銃士 (きゅうこんさんじゅうし) von 佐々木 邦 (ささきくに) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.326 Zeichen · 330 Bildschirme
泥棒が入ったけれど、安達君が目を覚したものだから何も取らないで逃げ出した。丁度巡査が通り合せて、泥棒と格闘が始まった。安達君は金盥を叩き鳴らして近所へ急を報じた。隣家の書生が出て来て手伝ったのだけれど、それがどう間違ったのか、安達君の武勇伝として新聞に現われたのである。
「書生じゃないんだよ、僕は」
「はゝあ」
「大谷さんは郷里の先輩だよ。僕は家から預けられているんだから、何方にしても頭が上らないんだけれど」
「然うですか? これは失礼申上げました」
「あれ以来方々で僕を書生だと思っているのらしい」
「しかしお手柄でしたな」
「何あに、金盥を叩いたばかりだ」
「それにしてもです」
「手柄でも何でもない」
「いや、下宿から通える身分でいながら、窮屈な監督を受けて、六年も御辛抱なさるところがお堅い証拠です。俺が会社の重役なら、そこへ直ぐに目をつけます。これで長年この稼業をやっていますから、人間ってものが判るんです」
「何うだかね。僕を書生だと思っていたんだから」
と安達君は尠からず不平だった。
そこへお客さんが来たものだから、親方は如才なく応対を始めた。しかしその間もチョキ/\/\と鋏は休ませない。