Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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きゅうこんさんじゅうし

求婚三銃士

佐々木 邦

Lesen Sie 求婚三銃士 (きゅうこんさんじゅうし) von 佐々木 邦 (ささきくに) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.326 Zeichen · 330 Bildschirme

Aozora Bunko

口八丁手八丁だ。お客さんを職人に委せて置いて、又話し出す。

「旦那、斯うっと、何処まで申上げましたかな?」

「もう宜いよ」

「然う/\。相済みません。飛んだ粗相を申上げました。大失策です」

「何あに、構わないけれど」

「これでも人間は分る積りです。一口に散髪屋といっても、俺のところは高級で、それ、その、トンソリヤル・サルーンですから、インテリの頭ばかり扱います。インテリは頭が資本です。その資本を扱うからには、一種の資本家でしょう」

「好い加減にしてくれよ」

「数を手がけていると、恰好で分りますよ」

「何が?」

「頭の恰好で出世する人か、出世しない人か、将来が分ります」

「僕のは何うだい?」

「保険つきです。重役ですよ、この真黒な毛が悉皆禿げ落ちる時分には」

「それまで首が持つまい」

「大丈夫です。動いちゃいけません」

「動きはしないよ」

「いや、お勤めの話です。人間、動かないことが一番ですな。俺にしても、十何年こゝに腰を据えて動かなかったればこそ、お得意が固定して、もう押しも押されもしません。これでも組合へ行けば、幅利きの方ですよ。旦那も一つ腰を据えて、動かないで下さい」

「動かない積りだ」