Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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わたらせがわ

渡良瀬川

大鹿 卓

Lesen Sie 渡良瀬川 (わたらせがわ) von 大鹿 卓 (おおしかたく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 280.528 Zeichen · 557 Bildschirme

Aozora Bunko

県庁で駄目なようなら直接内務省へ送り届けなさい」

恒吉は愁わしげな目付で正造を見かえり、

「その役人は郡長の代理だなどといって来ます。それほどですから、どこから内命が出ているか、知れたものでありません」

その辺のことは臆測しないではなかった。正造は恒吉を見つめて無言のまま深く頷き、

「だいたい前にも示談契約で瞞されていながら、まだ目がさめないのか。一反に二円や三円の金を取って、永世子々孫々まで苦情をいわぬなどと、そんな馬鹿々々しい書附に決して判を捺してはならぬと、あんたから村の人たちに十分教えてやって下さい。われわれとしてはどこまでも政府に請願して、銅山の鉱業を停めさせるよりほかに途はない。また、立派にそうする権利が与えられている。それだのにその大切な権利をわずかな金銭で永久に売り渡すようなことをしては、自殺するにも等しい。権利は根本のものだ。慾というものは天地のように大きな慾でなければいけない。そういってよくよく判るまで教えてやって下さい。わしはこれから渡瀬村へいって今夜は雲龍寺に厄介になる。また村の若い人たちに集ってくれるように頼みます」

間もなく正造は暇をつげて忙しげに俥に乗った。