Japanische Klassiker mit Furigana
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わたらせがわ
渡良瀬川
大鹿 卓
Lesen Sie 渡良瀬川 (わたらせがわ) von 大鹿 卓 (おおしかたく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 280.528 Zeichen · 557 Bildschirme
そうした東奔西走の間にも、正造は暇を見出しては入監者の家を見舞った。殊に留守宅の老婆などは、老いのくり言に息子の不幸を歎いて、正造を当惑させるのだったが、彼はそのたびに、
「いや、いや、罪を犯して監獄へ入ったというのは違って、少しも恥じるところはないのですぞ。今にじき白い黒いがわかる時がくる。あんたも佐倉宗吾を知っていなさるだろう。神に祭られていまに大明神といわれている。正義のために身を捨てた人だからだ。今度の場合も、ことはそれと同じです。正義のために獄に縛がれている者は神様だ」
卑屈な彼等に、自負を持たせ、悲歎に堪える力を植えつけようという念願が籠っていた。
「それは他人のことだからそんなことをいっていなさるが、人の嫌う監獄に入れられてよろこぶ者はありませんよ。伜もどんなに辛いかしれねえのです。この間の手紙にも悲しいことを書いて寄こしましたよ」
そこで正造はまた言葉を添えねばならなかった。
「うん、それは監獄だから辛い。苦痛なこともあろう。だが、わしも監獄は何度か経験があるが、からだをじっと休ませているから頭がいろいろと働いて、物事を深く考えるようになるものだ。