Japanische Klassiker mit Furigana
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ろうごくのはなよめ
牢獄の花嫁
吉川 英治
Lesen Sie 牢獄の花嫁 (ろうごくのはなよめ) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.213 Zeichen · 325 Bildschirme
加山殿の苦衷もお察しする」
羅門のさばきは、いつも奥床しかった。得手勝手な東儀与力とは、その実力はもちろん、人格においても、雲泥の差である。
加山はひそかに、こういう立派な人物を上役に戴いて働いたなら、どんなに、働きがいがあるだろうと思った。
が――東儀のこじれた気もちはまだ納らない。
「加山ッ」
「は」
「は、じゃあない。何をぼんやりとしているのだ。もう組下の者さえ先に手配に廻っておるではないか。早く善後策を講じて、郁次郎めを引っ捕えて来い」
「はっ」
「郁次郎を召捕らぬうちは、断じて、奉行所に帰って来るな」
「……ご免」
と、悲痛に、無情な上役へ向って、低く会釈をすると、加山は、冷たい十手と捕縄をつかみ直して、何処と、あてどもない夕闇の街へ、いっさんに、駈け出して行った。
その、うしろ姿を見送って、東儀はすぐに、
「この上は、花世の方を」
と、羅門を眼で促した。
「そうだ、郁次郎が逃げたと知ると、あの鳥も、逃げるかも知れぬ」
二人は、踵をめぐらすと、再び、富武家の門前へ、急いで、引っ返して来た。
見ると、一挺の駕がそこに横着けになっている。二人はハッとしながら、