Japanische Klassiker mit Furigana
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ろうごくのはなよめ
牢獄の花嫁
吉川 英治
Lesen Sie 牢獄の花嫁 (ろうごくのはなよめ) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.213 Zeichen · 325 Bildschirme
と主水は、主水らしい戯れを父に言った。
「たわけた事を申せ。おまえなどは、父が誰のためにこういう苦心をしておるか、知らんのじゃろう」
「それは不肖ですが、分っております」
「分っておったら、冗談にも、左様なことは申さぬものだぞ」
「けれど、私が立身すれば、父上も同時にもっとお好きな事ができるわけですから」
「老後には、それくらいな埋め合せがなくてはやりきれん。……お、忘れていたが、玉枝、そちをこの山まで尾けて来た男は、あれから侍たちが捕まえたか、それとも、斬って捨てたかどうか。復命はなかったかどうじゃ」
「最前その事を、表の侍から、申して参りました」
「お、そうか」
「けれど惜しいことに、逃がしてしまったそうでござります」
「それはまずいな」と、郷左はすこし眉をひそめて、
「わざわざ江戸表から害虫を連れて来て、山へ、追っ放したようなものだ」
「いいえ、たいした者ではございません。まだ青くさい同心の端くれでございます」
「同心ならばなおいけまい」
「いくら江戸の同心であろうと、十手を持って、お大名の奥へ立ち入ることはできませぬから」
「む。大きに」
と、郷左は、自分へ頷いて、