Japanische Klassiker mit Furigana
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ろうごくのはなよめ
牢獄の花嫁
吉川 英治
Lesen Sie 牢獄の花嫁 (ろうごくのはなよめ) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.213 Zeichen · 325 Bildschirme
てあるではありませんか」
「…………」
郷左衛門は、わが子の饒舌を、黙って、睨みつけていた。
「だが、これと違って、昨日の指は、斬ッたばかりのように生々しかった。それに、これは人さし指だが、あの方は、たしか中指で」
「主水」
「だめですよ父上、そんな難しい顔をしたって」
「貴様は、見たのか」
「はい、ちょっと、失礼いたしました」
「どうもしかたのない奴だ。しかし、見た者がおまえだからよかった」
その、ほっと吐いた溜息のあいだに、玉枝のことばがキビキビとはいった。
「えっ、また後の指が着いたんですって。――このあんばいでは思いのほか、早くすべてが片づくかも知れませぬ」
「どうか一日もはやく、そうしたいものだ」
「私も江戸表の方が気がかりですから、一刻もはやく、帰るといたします。では、私の持って来た分の金子は、どうぞ後から為替でおねがいいたします」
「よろしい、金子の方は、相違なく送るであろう」
主水は物好きに、父の隠しておいた文庫の中の小筥を、もう一つ出して、蓋を取ってそこへ並べた。
二本の女の指!
生々しい中指と、血の干乾びた人さし指。
「あと、もう二本でございますね」