Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
ろうごくのはなよめ
牢獄の花嫁
吉川 英治
Lesen Sie 牢獄の花嫁 (ろうごくのはなよめ) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.213 Zeichen · 325 Bildschirme
「ざまを見ろッ。よくも昨日は、存分に拙者を愚弄したな!」
と、玉枝の背ぼねを踏みつけて、仮借なく、彼女の両手を後ろへ廻して縛り上げた。
「さ! 歩けッ」
と、八弥は、昂奮した語気で、縄尻を絞った。――玉枝は、不貞腐れ気味に、
「ちッ、やかましいじゃないか」
と、口惜しそうな流し眼を向け返して、
「猫が鼠を捕ったように、余り騒ぐのは大人気ないでござんしょう。ご自分様の足ですからね、気が向けば、歩けと言われなくったって、歩くのさ」
「減らず口をたたくな。もう貴様の悪運も尽きたのだぞ」
「ヘン……よくお分りでございますこと」
「大津口まで出れば、問屋場からすぐに軍鶏籠に乗せてやる。さ、歩け歩け」
「山の中だからちょうどよかったよ。町中でこうされちゃ堪らない。……ねえ八弥さん」
「何だ」
「私もずいぶん多くの手先や同心にも尾けられたけれど、お前みたいな、執ッこい、根気のいい人間は、見たことがないねえ。恐れ入ったよ」
「さすがの妖婦も、天命を知ったと見えるな。いつの世にでも、悪運の永く続いた例はないのだ。獄門になったら、次の世には、善人に生れ代って来い」
「ご親切さま……」
と、玉枝はうすら笑いを泛かべながら、白い糸切歯で、唇を噛んで――