Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ろうごくのはなよめ

牢獄の花嫁

吉川 英治

Lesen Sie 牢獄の花嫁 (ろうごくのはなよめ) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.213 Zeichen · 325 Bildschirme

Aozora Bunko

「……ホ、ホ、ホ、ホ。来てごらん」

玉枝は、一間ばかり側まで、近づいて来て、唖男の臆病を嘲るように眼で招いた。唖男も、やっと、安心したように、ぬすみ足で、彼女のそばへ寄ってきた。

玉枝は、地上を、指さした。唖聾は、うなずいて、首をふりながら、下品に、クククク、と家鴨が喉を鳴らすように、笑った。

「――かあいそうに、この老いぼれさんは、若い同心を道づれにして、とうとう、死んじまったんだよ。……だが、こっちにとれば、これで、大安心というものさ。ねえ、唖」

「…………」

唖聾は、きょとんとして、彼女を見つめた。

「そんなに、人の顔をお見でないよ。おまえに、うっかり口をきくと、いつまで顔を見ているから困ってしまう。……と言ったところで、これも、分りゃしないけれど」

と、苦笑しながら、河岸すじを振り顧って――

「だが……どうしたんだろう、新七は。もうお首領を連れて来そうなものだが」

と、つぶやいた。

とたんに、息をひそめて、死骸そのもののように、地上に俯ッ伏していた老先生は、いきなり、猿臂をのばして、怪美人玉枝の袖をグイとつかまえた。同時に耀蔵も、唖男の片足をつかんで、ぱっと、身を起しながら、