Japanische Klassiker mit Furigana
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ろうごくのはなよめ
牢獄の花嫁
吉川 英治
Lesen Sie 牢獄の花嫁 (ろうごくのはなよめ) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.213 Zeichen · 325 Bildschirme
「もとより、そうなくては、羅門塔十郎ともある名捕手の一分が相立つまい。また、老先生の立場としても、お上より、かくご猶予のある以上は、ただ、言い分や議論に止まらず、ぜひとも何人が、女笛師お雪を殺したか、巫女殺しの下手人なるか、その真犯人をつきとめて、百日の日限までに奉行所へお示しをねがいたい。――かりに一日遅れても、万一、その期日までに、真犯人の出ぬ時は、奉行所は、奉行所が今日までの推定によって、郁次郎を処刑いたすことに、何らの仮借を持つものではないから、その場合には、お恨みなきように断っておく」
「よろしい――」
と、老先生は、大きく、白髯をしごいて、
「これで、わしはわしの信念に向ってすすむこと以外に、なんにも言うことはない。郁次郎は、それまで、獄舎に預けておく」
「はははは」
と、東儀は、強いて笑って、
「だが老先生、万一、その百日めになっても、他に犯人が出ぬ時には……」
どうする? ――というように、眼で詰問した。
老先生は、ふと、傷ましいわが子の姿に目を落しながら、
「各※(二の字点、1-2-22)のお手数は待たぬ。郁次郎めが刑刀の錆となる時刻に、わしも、どこかで老腹を掻ッ切って相果てておろう。