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Japanische Klassiker mit Furigana

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ろうごくのはなよめ

牢獄の花嫁

吉川 英治

Lesen Sie 牢獄の花嫁 (ろうごくのはなよめ) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.213 Zeichen · 325 Bildschirme

Aozora Bunko

だが、老先生には、その音も耳に入らなかった。強い、自責の念に、肩をふるわして、燃えるような眼をあげて、

「わしは今日、誓いに来た! 五百之進どの、わしはここで誓う!」

無言の石に――無言の友に――こう、訴えるのだった。

「ご息女の花世どのの身は、身にかえても、この塙江漢がおひきうけ申す。同時に、郁次郎との許嫁の約束も、もちろん、変ることはない。時は遅れたれど、郁次郎が青天白日の身となり次第に。――オオそうだ、その吉日は百日目、今日からかぞえて八十日目の夜をもって、きっと、華燭の典をあげることにいたそう。悪人勦滅のその日を黄道吉日として、冤罪の獄舎から出た花聟と、悲嘆のどん底から救われた花嫁とを、この江漢が、一命にかけても、必ず、めでとう手を握らせてお見せする。――それが、貴殿への、何よりのお詫びだ。何よりの供養であろうと思う」

と、思わず、嗚咽を嚥んで、しばらく瞑目してから――

「もしまた、不幸にも、百日の期間のうちに、それの成らざる時は、ここへ来て、老腹を掻ッ切り、江漢も、泉下に参って謝罪をする」

と、自分の吐くことばに疲れるほど、老先生は、真摯であった。