Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ろうごくのはなよめ

牢獄の花嫁

吉川 英治

Lesen Sie 牢獄の花嫁 (ろうごくのはなよめ) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.213 Zeichen · 325 Bildschirme

Aozora Bunko

「アア。それではいくら尋ねても、行方が知れんわけだ。何の罪も、後ろ暗いところもないのに、御身はなんで、身を隠してなどおるのか。なぜ早く、鶉坂のわしの所へは、尋ねて来てくれんのじゃ」

「参りたいのは山々でしたが、その前に、郁次郎様から、これだけは、父にいうてくれるなと、固く、口止めをなされていたこともありますし……」

「前代未聞の曲者だ。そもそも、こんどの間違いは、郁次郎がわしに包んでいるその秘密一つから起っておるに相違ない」

「それに、私の身には、絶えず怖ろしい人間がつき纏っておりますので、昼間も、油断をして歩けませぬ」

「そうか、悪魔は、そなたまでを、狙けているか」

「今も、方丈様が、尺八を聞かせて欲しいと仰っしゃるので、うつつに、吹いておりますと、覆面をした妙な男が、庫裡の横をうろついていたというので、そっと、墓地の中へ、抜け出してきたのでございます」

「覆面の男?」

「寺男のいうには、若い、浪人ふうの男だそうです」

「それが、悪魔の首領だ」

「えっ、悪人のかしらですか」

「しかし、案じることはない。おそらく、彼は、この江漢のあとを尾けて来たに違いない」

女である。