Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ろうごくのはなよめ

牢獄の花嫁

吉川 英治

Lesen Sie 牢獄の花嫁 (ろうごくのはなよめ) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.213 Zeichen · 325 Bildschirme

Aozora Bunko

――キャッと、耳を劈いたあの絶叫、あの人間の断末の知らせ。

「しまった!」

老先生は、地だんだを踏んだ。――今。彼女の一命に、もしものことでもある場合には、永遠の闇に、この事件の心臓は活動を停止してしまうほかないのである。

「――ちぇッ、先手を打たれた」

と、老先生が、慌てたのも、決して無理ではないのである。事件の鍵とする「二つの問」は、まだ、花世の口から語られてないのであるから。

しかし、僥倖にも、彼女は助かった。彼女はもう寺の一室へはいって、一心に、「二つの問」の答えを書き綴っていたのである。

そのかわりに、墓地の下の日蔭で、手づかみで、めんつうの残飯を食べていた一人の女乞食は、その背に、一本の小柄を突きとおされて、血を吐いて、死んでいた。

「やッ、親方。人が死んでる!」

「また死人か」

「女乞食だ」

「おや、たった今、殺されたばかりのようじゃねえか」

「山門をはいってくる時に、ギャッと、いやな声が聞えたと思ったら……これだ」

「でも、老先生でなくってよかった」

と、舟辰は、ほっとしたように、胸をなでおろした。連れているのは、店の若い者――船頭の千吉だった。