Japanische Klassiker mit Furigana
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ろうごくのはなよめ
牢獄の花嫁
吉川 英治
Lesen Sie 牢獄の花嫁 (ろうごくのはなよめ) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.213 Zeichen · 325 Bildschirme
「そうです。……例に依って、犯蹟には、何の証拠も残っておりません」
「殺る方も、だんだん熟練して来るとみえる」
「大きに」
と、羅門も、苦笑して、
「手口は、まったく、同じです」
「むろん、巫女殺し、笛師殺しと、同一人であろう。――しかし、これを見ても分るのは、前の犯罪は、郁次郎の所為でないということだ。現在、奉行所の獄中に囚われている郁次郎が、雛妓のお半を、何しに、殺害するいわれがあろう」
「まあ、表面は、そうも見えます……」
羅門は、相変らず、冷静な笑みをもって、老先生のことばを聞き流していた。
「ちょっと、素人考えで申すと、いかにも、獄中にいる郁次郎が、世間へ出て、人を殺すはずはないと思われるが、事実は、たいへんに違います。……あの奉行所の牢獄などは、やり方一つで、いくらも、外部との連絡がとれる。また、金次第では、身分の軽い獄吏などを買収する方法もある。その辺も今調べ中です。ことに、老先生に対して、百日のご猶予をいたした後は、郁次郎の身も、非常に、寛大にしてありますから、手段に依っては、一夜ぐらい、外部へも出られないことはないのです」
「相変らず、貴公も、自信がつよいな」