Japanische Klassiker mit Furigana
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ろうごくのはなよめ
牢獄の花嫁
吉川 英治
Lesen Sie 牢獄の花嫁 (ろうごくのはなよめ) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.213 Zeichen · 325 Bildschirme
怪老人――それは如意ヶ岳の山の主といわれている作兵衛爺と、もう一人は、何ぞ知らん、この炭焼小屋の竈で、かつて大村父子と山侍たちのために、蒸殺しの刑にかかって、とうにこの世に生命のないはずの江戸表の同心、加山耀蔵とは同役であり、無二の親友だった波越八弥が、昔に変る樵夫姿で、まだ立派に生存していたのであった。
「さ、八弥様。病人はそのまま、小屋の中へ寝かせたがいいだ」
作兵衛小屋へ着くと、山の主の爺は、すぐに小屋の中へ筵を敷いた。
耀蔵は、八弥の背中で、刎ね返って、
「いや、俺は寝ない。俺は病人なんかじゃない」
と、呶鳴った。
「おや、えらい元気じゃな」
「誰だ! 誰だ! 俺を救ってくれたのは、俺は、それが知りたい。俺を背負っているのは誰だ」
「加山!」
と、波越は、彼を下ろして、痛いほどな力で、その腕を握りしめた。そして、眼ばたきもせずにじっと見つめる彼の眸の前へ、自分の顔をつきつけて、叫んだ。
「加山! 俺だ! 波越八弥だ」
「げッ」
と、耀蔵は驚倒した。
「波越ッ」
「加山ッ」
「ど、どうして貴様は」
「奇遇だ! どうしたって、悪人ばらの往生を見ぬうちに、死んでたまるか」