Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ろうごくのはなよめ

牢獄の花嫁

吉川 英治

Lesen Sie 牢獄の花嫁 (ろうごくのはなよめ) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.213 Zeichen · 325 Bildschirme

Aozora Bunko

ほかには」

「そのご系図に書いてあるのを見ますると、四名のお孫様は、みな女性でござりました。そして、ご姉妹の年順に、まだ乳呑児のうちに、左の指の爪へ、漆のごとく、お鉄漿の入墨をなされました」

「爪へ、入墨をしたとか。それは、何の為に」

「恐らくは、高貴のご血統たることを、子孫から子孫へ、遺すためではないでしょうか。尤も、小普請の石川家には、昔から女子は夭折するという遺伝があって、それには、左の指の爪を、歯のように、鉄漿で染めれば育つという申し伝えもありましたのです」

「ふーム……。さては、わしの正腹の嫡子のないことを、石川家の方でも薄々心にとめていたものと見える」

「まさか、その石川家が断絶して、ご姉妹がみな、離散なさるとはお考えなく、ただ後日に、何かの証ともなろうかという親心から、なされたことではあるまいかと考えまするが……。その黒い爪が、てまえの見出した、玉枝様にもあるのでござります」

「とにかく、その女性に会いたいものじゃ。たしかに、血統とわかれば、他家より養子を迎えても、亀山六万石は安泰なわけじゃ」

「では、折を伺って」

「いや、早いがよかろうぞ。……今宵のうちに」