Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ろうごくのはなよめ

牢獄の花嫁

吉川 英治

Lesen Sie 牢獄の花嫁 (ろうごくのはなよめ) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.213 Zeichen · 325 Bildschirme

Aozora Bunko

「あ、東儀様でございますか、今し方まで、加山殿と波越殿が、非常にさがしておいでになりましたが」

「えっ、では一度ここへ立ち帰ったのか」

「はい、戻るとすぐに、身なりもあのままで、よほどなご急用とみえて、ご両所とも町駕を飛ばしてどこへかお急ぎになりました」

「はてな? ……そして唖男の行く先は首尾よく突き止めたようか」

「まるで目的が外れました」

「やつ、逃げ失せたか」

「いえ、その唖奴は、ご両所の帰るより前に、ひとりでのこのこと伝馬牢に舞い戻って来て、あげくの果てに、ひとりで牢へはいって澄ましこんでおるのです。――何でも波越殿にお話を承ると、唖めは、おふたりが尾行ていたことは全く知らない様子で、ここを出ると、しばらくうろうろ歩いていたそうですが、やがて、一軒のけんどん屋で、饂飩をしこたま食べこみ、また町の辻々をうろついて、今度は饅頭を買ってそれをふところに入れたと思うと、前と同じ道を真っ正直に戻って、再び伝馬牢の中へのこのこと帰って来てしまったというわけでござります」

なるほど、それでは全然大目的はずれだ。東儀与力は開いた口がふさがらないように、

「ウーム怖ろしい奴だ。