Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
ろうごくのはなよめ
牢獄の花嫁
吉川 英治
Lesen Sie 牢獄の花嫁 (ろうごくのはなよめ) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.213 Zeichen · 325 Bildschirme
真っ暗であるが、なんとなく屋内の空気のうちには、新しく蝋燭の燃えた匂いと、人間の息とも臭気ともいえないものが、感じられたと見える。
はッとしたように、武士が左足を退いたので、おのれ逃がしては、と焦心ッた東儀与力が、
「曲者ッ」
と、怒鳴りながら、大客卓の蔭から立とうとした。
とたんに、びゅッと白い切ッ尖が刎ねて来た。あっと、思わず首を竦めたせつなに、黒衣の武士が、足をあげて、鉄板のように重い花梨の大卓を蹴たおしたので、東儀与力はその下に押しつぶされて、
「うッ」
と、何か叫ぼうとした。
曲者は、絨毯をつかんで、ばっと、その上に押しかぶせると、冷蔑をこめた笑みをにやりと投げて、ふところ手をしたまま、表から出て行ってしまった。
「残念ッ、残念。――おいっ、加山、波越ッ、二人ともおらんのか!」
卓の下から、手足をもがき出しながら、彼が罵り騒いでいると、その声に吃驚して、裏口と表から、二人が駈けこんで、盤石のような大卓を持ち上げた。
「与力、どうなされました」
彼は、部下に対する間の悪さを、憤怒に変らせて叱りとばした。
「どうなされたじゃない、今、出て行った曲者をなぜ捕えぬのだ。