Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ろうごくのはなよめ

牢獄の花嫁

吉川 英治

Lesen Sie 牢獄の花嫁 (ろうごくのはなよめ) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.213 Zeichen · 325 Bildschirme

Aozora Bunko

と、いう依頼であったことはもちろんである。

頼みては大名である。事件は重大である。その報酬の額がいかに莫大であるかも想像がつく。

「ウーム、成程……」

と、東儀与力は、羨ましそうに聞き終って、羅門塔十郎が、役禄を辞して、悠々と東都に遊び暮しながら、しかも、ぜいたくな服装をしているのは、そんな金の出所があるからだろうとうなずいた。

「そのご依頼をうけてから、もう八、九年にもなるのでござるか」

「大坂奉行所の方で、なかなかお暇をくれぬので、思わず年月を過しましたが、もう猶予もあと一年ばかり、これからは、励みをいれてかかる覚悟です」

「して、きょうこれからお訪ねになる八官町というのは」

「さ、それです」

と、塔十郎は草埃を払って、腰を上げながら、坂を下りはじめた。

「さるところから聞きこんだのですが、小普請の石川某から貰われた娘が、そこに住んでおるということなので、ちょっと、小あたりに訪ねてみようという所存なのです」

「ほ、すると、龍山公のお孫でござるな」

「まだ、真実か、嘘かは、充分に探ってみた上でなければわからぬが……」

「しかし耳よりなことじゃ。そして、その娘と申すのは、今、八官町のどこにおるのでござるか」