Japanische Klassiker mit Furigana
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いなかきょうし
田舎教師 他一編
田山 花袋
Lesen Sie 田舎教師 他一編 (いなかきょうし) von 田山 花袋 (たやまかたい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 156.097 Zeichen · 312 Bildschirme
平凡なる利根川の長い土手、その中でここ十町ばかりの間は、松原があって景色が眼覚めるばかり美しかった。ひょろ松もあれば小松もある。松の下は海辺にでも見るようなきれいな砂で、ところどころ小高い丘と丘との間には、青い草を下草にした絵のような松の影があった。夏はそこに色のこいなでしこが咲いた。白い帆がそのすぐ前を通って行った。
清三はここへ来ると、いつも生徒を相手にして遊んだ。鬼事の群れに交って、女の生徒につかまえられて、前掛けで眼かくしをさせられることもある。また生徒を集めていっしょになって唱歌をうたうことなどもあった。こうしている間はかれには不平も不安もなかった。自己の不運を嘆くという心も起こらなかった。無邪気な子供と同じ心になって遊ぶのがつねである。しかし今日はどうしてかそうした快活な心になれなかった。無邪気に遊び回る子供を見ても心が沈んだ。こうして幼い生徒にはかなき慰藉を求めている自分が情けない。かれは松の陰に腰をかけてようようとして流れ去る大河に眺めいった。
一日、学校の帰りを一人さびしく歩いた。空は晴れて、夕暮れの空気の影濃かに、野には薄の白い穂が風になびいた。