Japanische Klassiker mit Furigana
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いなかきょうし
田舎教師 他一編
田山 花袋
Lesen Sie 田舎教師 他一編 (いなかきょうし) von 田山 花袋 (たやまかたい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 156.097 Zeichen · 312 Bildschirme
清三は八時過ぎに、番傘を借りて雨をついて出た。それには三田ヶ谷村役場と黒々と大きく書きつけてあった。
小川屋のかたわらの川縁の繁みからは、雨滴れがはらはらと傘の上に乱れ落ちた。錆びた黒い水には蠑が赤い腹を見せている。ふと街道の取つきの家から、小川屋のお種という色白娘が、白い手拭いで髪をおおったまま、傘もささずに、大きな雨滴れの落ちる木陰を急いで此方にやって来たが、二三歩前で、清三と顔見合わせて、ちょっと会釈して笑顔を見せて通り過ぎた。
学校はまだ授業が始まらぬので、門から下駄箱の見えるほとりには、生徒の傘がぞろぞろと続いた。男生徒も女生徒も多くは包みを腰のところにしょって尻をからげて歩いて来る。雨の降る中をぬれそぼちながら、傘を車の輪のように地上に回して来る頑童もあれば、傘の柄を頸のところで押さえて、編棒と毛糸とを動かして歩いて来る十二三の娘もあった。この生徒らを来週からは自分が教えるのだと思って、清三はその前を通った。
明方から降り出した雨なので、路はまだそうたいして悪くなかった。車や馬の通ったところはグシャグシャしているが、拾えば泥濘にならぬところがいくらもある。