Japanische Klassiker mit Furigana
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いなかきょうし
田舎教師 他一編
田山 花袋
Lesen Sie 田舎教師 他一編 (いなかきょうし) von 田山 花袋 (たやまかたい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 156.097 Zeichen · 312 Bildschirme
けれど一方ではどうしても上がられるような気がしない。初心なかれにはいくたび決心しても、いくたび自分の臆病なのをののしってみてもどうも思いきって上がられない。で、今度は通りのまん中を自分はひやかしに来た客ではないというようにわざと大跨に歩いて通った。そのくせ、気にいった女のいる張り見世の前は注意した。
河岸の渡し場のところに来て、かれはしばらく立っていた。月が美しく埠頭にくだけて、今着いた船からぞろぞろと人が上がった。いっそ渡しを渡って帰ろうかとも思ってみた。けれどこのまま帰るのは――目的をはたさずに帰るのは腑甲斐ないようにも思われる。せっかくあの長い暑い二里の土手を歩いて来て、無意味に帰って行くのもばかばかしい。それにただ帰るのも惜しいような気がする。渡し船の行って帰って来る間、かれはそこに立ったりしゃがんだりしていた。
思いきって立ち上がった。その家には店に妓夫が二人出ていた。大きい洋燈がまぶしくかれの姿を照らした。張り見世の女郎の眼がみんなこっちに注がれた。内から迎える声も何もかもかれには夢中であった。やがてがらんとした室に通されて、「お名ざし」