Japanische Klassiker mit Furigana
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いなかきょうし
田舎教師 他一編
田山 花袋
Lesen Sie 田舎教師 他一編 (いなかきょうし) von 田山 花袋 (たやまかたい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 156.097 Zeichen · 312 Bildschirme
路はいつか士族屋敷のあたりに出た。
家はところどころにあった。今日まで踏みとどまっている士族は少なかった。昔は家から家へと続いたものであるが、今は晨の星のように畠と畠の間に一軒二軒と残っている。昔ふうの黒いシタミや白い壁や大きい栗の木や柿の木や井字形の井戸側やまばらな生垣からは古い縁側に低い廂、文人画を張った襖などもあきらかに見すかされた。夏の日などそこを通ると、垣に目の覚めるようなあかい薔薇が咲いていることもあれば、新しい青簾が縁側にかけてあって、風鈴が涼しげに鳴っていることもある。秋の霧の深い朝には、桔※のギイと鳴る音がして茘子の黄いろいのが垣から口を開いている。琴の音などもおりおり聞こえた。
この士族屋敷にはやはりもとの士族が世におくれて住んでいた。役場に出ているものもあれば、小学校の先生をしているものもある。財産があって無為に月日を送っているものもあれば、小規模の養蚕などをやって暮らしているものもある。金貸しなどをしているものもあった。
士族屋敷の中での金持ちの家が一軒路のほとりにあった。珊瑚樹の垣は茂って、はっきりと中は見えないが、それでも白壁の土蔵と棟の高い家屋とはわかった。