Japanische Klassiker mit Furigana
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びしょうじょいちばんのり
美少女一番乗り
山本 周五郎
Lesen Sie 美少女一番乗り (びしょうじょいちばんのり) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 73.583 Zeichen · 149 Bildschirme
と思うより先に、お弓は脱兎のごとく元の道を取って返した。四、五町の道ではあるが、胸を突くような急斜面だから、登って走るには倍の暇がかかる、ようやく岩窟の入口まで駆けつけると――先ず眼に入ったのは血まみれになって斃れている五郎の姿だった。
「あッ、やっぱりおまえ」
と立ちすくみながら、中を覗くと苅谷兵馬も、半身を岸壁へ凭せかけたまま、もう気息奄々としている。お弓は夢中で駆寄った。
「兵馬さま、兵馬さま、お気をたしかに」
「おお、お弓……どのか、残念――」
「何者がこんな事を」
「岩陰から、鉄砲で」
兵馬は射抜かれた胸を掴みながら、必死の力で懐から一綴りの書き物を取出した。
「拙者はもう、駄目です、これを、大縄の出城へ、届けて下さい、お願いです」
「大縄の出城へ!」
「早く、拙者に構わず早く」
「御安心下さい、必ずこれはお届け致します」
「それから、五郎」
兵馬は苦しげに息をついて、
「五郎は、あなたの言付け通りよく護ってくれました。第一の弾丸は、五郎が拙者をかばって、射たれてくれたのです。ほめてやって下さい――お弓どの、くれぐれも、どうぞ」
「兵馬さま!」
あわてて手を差伸ばしたが、兵馬は崩れるようにそこへ倒れてしまった。