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Japanische Klassiker mit Furigana

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ききがきしょう

聞書抄

谷崎 潤一郎

Lesen Sie 聞書抄 (ききがきしょう) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 108.821 Zeichen · 210 Bildschirme

Aozora Bunko

はよいとしましても、どうかした時に御台様のお姿が眼瞼の中へ這入って参りますと、何やら息が詰まるようになりまして、そのちら/\する眩いお顔を長くは視つめていることが出来ませなんだ。なぜかと申して、考えても御覧なさりませ、眼が見えねばこそ賤しい男が斯くも貴いお方のお側へ侍りはすれ、さもなかったら許される筈のものではないのだと気がつきましたら、自然と頭が下る道理でござります。それと申すのも、矢張それだけの品位がおありなされたからでござりましょうが、何より当惑いたしましたのは、だん/\お相手をしておりますうちに、此のお方が行くすえ長く御無事にお過し遊ばすようにと、一途にそう祈る心のみが強くなって来ることでござりました」

順慶はこゝで、

「あゝ、もし」

と云って、何をうろたえたか二人の聞き手を抑えるように手を挙げながら、

「もし、………ついふつゝかな言葉づかいをいたしましたが、仮にも愚僧としたことが、武士たる者の嗜みを忘れてみめよきお方の御器量に迷い、本心を失うた、などゝ申すのではござりませぬから、思いちがいをして下さりますな。あのお方はやんごとないお生れ、たといどのようにお美しゅういらっしゃいましたとて、愚僧に何のかゝわりがござりましょうぞ。