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Japanische Klassiker mit Furigana

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ききがきしょう

聞書抄

谷崎 潤一郎

Lesen Sie 聞書抄 (ききがきしょう) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 108.821 Zeichen · 210 Bildschirme

Aozora Bunko

なれども宿世の因縁と申しましょうか、始めてお目通りを許されました日から、拙い藝が不思議に御意に叶いまして、たび/\召されますうちに、不仕合わせなお身の上のことがだん/\分って参りますにつれて、不便と申し上げましては勿体のうござりますけれども、あゝ、いかなる金殿玉楼の奥にも人の憂いはあるものよと、心ひそかにおいとおしゅう存じていたのでござりました」

挿絵

扨、今、順慶の言葉の中にある「不仕合わせなお身の上のこと」とは何を意味するのであろうか。蓋し此の夫人、秀次の正室であった一の台の局の不幸が、やがて順慶の不幸の因となったことを思えば、これこそ此の物語中の主要な部分であるべきだけれども、而も「聞書」はその肝腎な事実について餘り多くを語っていない。と云うのは、誰よりもその間の消息に通じている筈の順慶自身が、何故かそれに触れることを避けるようにしているのである。彼は頻りに一の台の局の不遇と逆境とを口にする。しかしながらそれは大概抽象的な説明に止まっていて、具体的な事柄になると、努めて曖昧な云い方をしているように見える。

挿絵

私はこゝで読者諸君の注意を喚起したいのであるが、此の一の台の局には「おみや御前」