Japanische Klassiker mit Furigana
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ききがきしょう
聞書抄
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 聞書抄 (ききがきしょう) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 108.821 Zeichen · 210 Bildschirme
てある者共でござれば、肉親の愛に引かされて何の用にも立ちますまい。さればと申して、此の城に籠り給うとも、長くは支えきれませぬ、遠巻きにして兵粮攻めにでもされたなら、味方の兵共は親類縁者を頼って降参し、止まる者はほんの僅かに過ぎないでござろう、憚りながら、君の御為めを思えばこそ隠さず申し上げるのでござる、我等を措いて誰が斯様なことを正直に申し上げようぞ、そこの道理がお分りになったら、今は躊躇する場合でござらぬ、とく/\お参りあって然るびょう存じ申すと云うのであった。事情は正しくその通りに違いないのであったが、そう云う風にはっきり云われると、一同迷夢から覚めた心地がして、さあらば穏便に如くべからずと云うことになり、秀次は待たせておいた五人の使者に、応二御使者之旨一伏見へ祗候いたすべき由を答えた。その時堀尾は、衆を離れてひとり秀次の右膝の近くに畏まり、緊張しきった顔つきで謹んでいる様子が、いかさま覚悟があるらしく見えたが、返答を聞くとほっとしたように座を退って、早速三条の道徹方へ吉左右を知らせた。
挿絵
秀次は、行列なども控え目にしてわざと一挺の輿に乗り、徒立の供二三十人を召し連れたゞけで聚楽を出たが、五条の橋を渡って大佛殿の前を過ぎる時分から、次第に前後が騒がしくなり始め、大勢の人数が此処かしこに立ち迷い、犇めき