Japanische Klassiker mit Furigana
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ききがきしょう
聞書抄
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 聞書抄 (ききがきしょう) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 108.821 Zeichen · 210 Bildschirme
合うけはいがした。これは討手がやって来たのでござります、賤しき者の手にかゝり給うては餘りに無念でござりますから、東福寺へ御輿を入れられ、彼の所にてお心静かに御生害をなされませと、供の人々が云うので、今は謀られたことに気がつき、此の上は城へ戻って腹を切ろうぞ、疾く引き返せと命じたけれども、若党共が追い/\後から馳せ着いて来て、五条わたりの体を見るに、早くも敵がまん/\と入り廻りたりと覚え候、還御は思いも寄らず候と云う。秀次は歯噛みをしつゝ、馬上ならば何者なりとも蹴散らして通るべきものを、さるにても弓矢取る者の仮初にも乗るまじきは輿車ぞかし、思う仔細のある間、兎にも角にも藤の森まで参るようにと、輿を急がせた。が、増田右衛門尉が道の途中に待ち構えていたらしく、馬から飛び下りて輿の前に畏まり、以ての外の御機嫌でござりまするぞ、ついては一先ず高野山にお忍びなされ、聊かも野心なぞおありなさらぬ趣を仰せ開かれましたなら、やがては御疑念の晴れる時節もござりましょうと云う。秀次は路上に輿を立てたまゝ、聚楽におりながら御理を申す法もあったが、それでは恐れ多いと存じ、これ迄出向いて参ったのじゃ、勿論館を出る時からそれだけの覚悟はしている某、今更何を驚こうや、但し、命は露ほども惜しからねども、無実の罪にて相果てるのが無念でなら