Japanische Klassiker mit Furigana
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ききがきしょう
聞書抄
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 聞書抄 (ききがきしょう) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 108.821 Zeichen · 210 Bildschirme
そこで私は思うのであるが、此の老尼こそかの老人雑話に見える三成が息女、舞妓常盤の後身ではなかったのであろう歟。聞書はたゞ噂をしるすのみであって、常盤と云う名を何処にも挙げてあるのではないが、何となくそう云う気がするのである。
挿絵
挿絵
源太夫が語るところに依れば、尼が草庵は嵯峨釈迦堂より艮の方、大沢の池へ行く路の傍の、とある藪かげにあって、部屋は僅かに二た間しかない怪しげな藁家の、廣い方の一と間を佛間に充てゝ、あさゆう佛に仕えながら、十三四になる小女と二人で暮していた。都が近いとは云うものゝ至って佗びしい場所であるから、日頃訪れる者もなく、尼も人に接することをあまり喜ばない風であったが、筆者源太夫は尼について昔のものがたりを聞かんものと、ひとゝせの秋釈迦堂へ詣でたついでに、そこの坊さんの紹介で漸く会うことが出来たのであった。多分筆者は、その、思いの外うら若く、残んの色香を墨染の袖に包んでいる尼と狭い一室に膝をつき合わせ、彼女の孤独を慰めたり自分の無躾を詑びたりしながら、少しずつ身の上話を手繰り出すようにしたのであろう。最初のうちは、尼は何を尋ねられてもたゞお耻かしゅう存じますとのみで多くを答えず、物好きな人の眼を逃れたいと云うようにさしうつむいてばかりいるので、とかく問答がとぎれがちであったが、ふと心づけば