Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ききがきしょう

聞書抄

谷崎 潤一郎

Lesen Sie 聞書抄 (ききがきしょう) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 108.821 Zeichen · 210 Bildschirme

Aozora Bunko

ませなんだ。いゝえ、これだけでは叶いませぬ、是非ともおん肌小袖を戴かせて下さいまし、と、そう云いますと、肌着を脱がされては生きていられぬ、そのくらいならいっそ命を取ってほしいと云う仰せに、よろしゅうございます、それこそ望むところですとお答え申して、たゞ一刀に刺し殺して、血を附けてはなりませんから慌てゝ小袖を剥ぎ取りました。それからほっと一と息して、さっき召使いが捨てゝ行った袋を拾って、やれ/\、これだけあったら女子供も嘸かしよろこぶことだろうと独りごとを云いながら、急いで我が家へ立ち帰って表の戸をたゝきますと、こんなに早く戻って来たのは今夜も仕事がなかったんですかと、中から妻が叱言を云いますので、なんでもよいから戸を開けろと申して袋を内へ投げ込んでやりましたら、おや、いつの間に稼いだんですと云い/\、袋の口をあけるのももどかしく連鎖の組緒を引きちぎったところが、それは/\おびたゞしい異香が熏じて、出て来たのは十二単衣の御装束なのです。こうかりょくようのおん衣、くれないの袴、その一つ/\に満ち/\ている匂いと云うものは、小路を行く