Japanische Klassiker mit Furigana
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ききがきしょう
聞書抄
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 聞書抄 (ききがきしょう) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 108.821 Zeichen · 210 Bildschirme
それから又暫くたって一丁ばかり上の方から、何とも云えない香が熏じて来ましたので、さあ、今度こそは餘程の人が来ると見える、我が身の運も盡きないのだと思って、その時の嬉しさと云ったら、ぞく/\しながら待ち構えていましたら、それがあたりもかゞやく程の上※(「藹」の「言」に代えて「月」、第3水準1-91-26)の、きら/\しい衣をさや/\と鳴らして通るのではありませんか。召使いの女を二人つれて、一人を先に立て、一人を後に、上刺袋を持たせて、私のいるのを見ないようにして通り過ぎようとなさるのを、わざとやり過しておいてから跡を追いかけますと、前に立っていた女房はあれと云ったなり忽ち姿が見えなくなり、後にいたのも袋を捨てゝ、助けてくれと云うより早く逃げ失せてしまいましたけれども、その上※(「藹」の「言」に代えて「月」、第3水準1-91-26)は別に騒がれるけしきもなく、声もたてずにいらっしゃるので、太刀をはきそばめて詰め寄って行き、なさけ容赦もなく衣裳を剥ぎ取って、しまいに肌小袖を取ろうとしました時でした。まあ、なんとする、肌小袖ばかりは女の耻だから許して下さい、その代り此れを上げますからと仰っしゃって、おん守りを取って投げ出されましたが、無道の者の悲しさには、なか/\それを聴き入れようとも思い