Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ききがきしょう

聞書抄

谷崎 潤一郎

Lesen Sie 聞書抄 (ききがきしょう) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 108.821 Zeichen · 210 Bildschirme

Aozora Bunko

時でした。時雨がさっと降って来まして、木の葉の露が涙のように落ちましたのを、姉が見ながら、妾に物を教えて下すった方と云うのは京のお人で、つね/″\申されましたのには、和歌の道はどんな恐ろしい鬼神をも和げ、なさけに疎い人をも動かし、佛も受納して下さる、女の身として和歌のたしなみがなかったら浅ましいことだと仰っしゃいましたので、わらわも七つになりました歳から、型のような文字を連ねます、それで只今も此のようなのを一首思いつきましたと云って、

草木までわれを哀れとおもひてや

涙に似たるつゆを見すらん

と、口ずさむではありませんか。それを聞いては強い覚悟も失せ果てゝ、露霜ならばとうに消えてもしまいそうな心地がしまして、もう/\今は包み隠していられようか、私こそはそなたの父の六郎左衛門入道だよと云おうとしたものゝ、なか/\、此処が大事なところだ、折角年ごろ思い立って世を捨てた身の、今日と云う今日、子と云う首枷を担ってなるものか、そんな料簡を起すと云うのは腑甲斐ないにも程があると、自分で自分の心を耻じしめて、それから申します