Japanische Klassiker mit Furigana
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だっせんむすこ
脱線息子
佐々木 邦
Lesen Sie 脱線息子 (だっせんむすこ) von 佐々木 邦 (ささきくに) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 108.293 Zeichen · 221 Bildschirme
「彼奴は無暗に行きたいんです」
「あなたも何れお出かけになりましょう?」
「はあ、二三年中にと思っています」
「始終彼方へ行く機会のあるのは羨ましいですな」
「西川さん、こゝにも無暗に行きたい人が一人いますのよ」
と操さんが素っぱ抜いた。
「ハッハヽヽヽ」
「彼方というと目の色が変ってしまいますのよ」
「そんなこともありませんが、一度は行って来たいものです」
と松浦さんは否定も主張も穏かにする。必ずしも婿養子だからでない。人格が然らしめるのだ。
「馬鹿を言え。しかし一遍は是非行って来るんだ」
なぞと威張ったところで何の足しにもならないことを知っている。
「行っていらっしゃいよ。今度西川さんがお出掛けの時、お供をなされば宜いわ」
「操さん、あなたもいらっしゃい。西川君は秀子さん同伴でしょうから、二夫婦揃って出かけましょう」
「ヘヽヽヽ」
と新太郎君は覚えず五体が弛んだ。昨今変な笑い癖がついている。尤も二夫婦と聞いて耳よりだったのである。
「オホヽヽ。一つ若返ってお供致しましょうか? 真正に」
と操さんはお婆さんらしく言うが、未だ二十六七だから、それは社交上の謙遜に過ぎない。