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Japanische Klassiker mit Furigana

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はなとりゅう

花と龍

火野 葦平

Lesen Sie 花と龍 (はなとりゅう) von 火野 葦平 (ひのあしへい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 410.131 Zeichen · 824 Bildschirme

Aozora Bunko

やがて、桟橋上での異変がみんなの知るところとなった。大騒ぎになった。

「玉井金五郎が殺された」

その報は、たちまち、波紋のようにひろがった。

暴徒たちは一人のこらず逃げ去っていた。一本の日本刀が、桟橋の根につながれてある小伝馬船の中に見出された。角助は海中に投じたつもりであったのである。

海岸派出所の巡査がかけつけて来た。水上警察署からもやって来た。桟橋は黒山の人だかりになった。

玉井組の子分連中は、狂気のようになって、敵を探し求めたが、もはや、一人として捕えることは出来なかった。源十と角助とが発見されたのは、しばらく時間が経ってからである。

子分連中は、なお吹き荒れる嵐の中で、文字どおり、天を仰ぎ、男泣きに、慟哭した。

無残な金五郎の身体は、戸板に乗せられて、病院にかつぎこまれた。

幾時間経ったのか、何日がすぎたのか、時日の経過など、まるでわからなかった。生と死との境を夢幻の気持でさまよう金五郎には、もはや、苦痛の感覚もなく、喜怒哀楽の感情もうごかない。ただ、奇妙なことに、いいようもない寂寥感だけが残っていて、

(どこか、誰もいないところへ逃げだしたい)