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Japanische Klassiker mit Furigana

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くしんのがくゆう

苦心の学友

佐々木 邦

Lesen Sie 苦心の学友 (くしんのがくゆう) von 佐々木 邦 (ささきくに) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.732 Zeichen · 332 Bildschirme

Aozora Bunko

「そうさ。首尾よくいったらおなぐさみ」

と照彦様は糸を池の中へ投げた。

「まだですか?」

「いくら名人でもそうすぐには釣れない」

「大きいのがきましたよ」

「おっと、どっこい!」

「どっこいどっこい!」

「大きい大きい」

「ああ、釣れた」

と正三君が飛びたった時、魚が水面へ現れた。照彦様は糸をまきちぢめて、

「万歳!」

と叫びながら築山のふもとに竿をおっ立てた。鯉が一ぴき、五月幟のようにへんぽんとしている。

「万歳! 万歳!」

「これを取るには竿に梯子をかける」

「うそですよ」

と正三君は竿をおしたおした。

日曜の朝、品川の船宿からこぎだした時、

「今日は僕が大将だ」

といって、照彦様は大とくいだった。お兄様がたが来ると頭が上がらないから、単独行動を喜ぶ風がある。正三君は舟に酔うかと内心案じていたが、いっこうにそんなこともなく、

「海はいいですなあ!」

といわゆる天空海闊の心持ちを味わった。

「内藤君、なんともないかい?」

「大丈夫です」

「それはしあわせだ。一々陸地へつけるんじゃたまらないよ」

と照彦様はいかにも大将らしい。

「若様、このみみずは少し違いますね」

と正三君はまもなく餌箱の中をのぞいて疑問をおこした。