Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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くしんのがくゆう

苦心の学友

佐々木 邦

Lesen Sie 苦心の学友 (くしんのがくゆう) von 佐々木 邦 (ささきくに) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.732 Zeichen · 332 Bildschirme

Aozora Bunko

と正三君は研究している。

「ジョオッと音がして血がドクドク出たそうだ。ああ、考えてもいやだ」

「それごらんなさい。若様の大和魂こそセルロイドです」

「失敬なことをいうな」

「それじゃお切りになますか?」

「切るとも」

「僕はごめんこうむります」

「なに?」

「僕はほんとうは切りたくないんです」

「そんなずるいことをいってもいまさらだめだよ」

「家へ逃げていってしまいます」

「よし。僕は今からお母様にいいつけておく」

と照彦様は本気になった。

「いやだなあ! 僕は痛いことは大きらいです」

「だれだってそうだよ。しかし身体を丈夫にするためなら仕方がない」

「切らなくても丈夫になればいいでしょう?」

「切らなければ丈夫にならない」

「それじゃ若様はイヨイヨほんとうにお切りになりますか?」

「切るとも。きみが切れば切る」

「僕も若様がお切りになれば切ります」

「それじゃ約束しておこう」

「ゲンマンですよ」

「なんだい? ゲンマンてのは」

「約束を破れば拳固で一万たたくんです」

「それじゃ僕もゲンマンだ」

「ゲンマン!」

と正三君はほぼ目的を達した。これぐらい念をいれておけば、照彦様もまさかに後へはひけない。