Japanische Klassiker mit Furigana
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くしんのがくゆう
苦心の学友
佐々木 邦
Lesen Sie 苦心の学友 (くしんのがくゆう) von 佐々木 邦 (ささきくに) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.732 Zeichen · 332 Bildschirme
できそうな子ですってほめてくださいましたよ。それから『子持ちは相身たがい見です。このお子さんを手ばなすお心持ちは私もお察し申し上げておりますから』って涙をうかべておっしゃいましたの」
とお母さんはおみやげよりもこれが、なによりだった。姉さんたちは姉さんたちで、それから二、三日の間、
「弟が伯爵家へ若様のお学友にあがりますのよ、それで奥様がわざわざおいでくださいましたの。宅の母と五つしか違いませんのよ、お若いんでございますのよ」
と会う人ごとに吹聴した。
次の日曜に正三君はお父さんにつれられておやしきへ伺った。お殿様にもお目通りをゆるされて、イヨイヨお学友ときまった。
「照彦にはちょうどいい相手だ」
とお殿様がおっしゃった。
「お母様によろしく。お乳を充分いただいておいでなさいよ」
と奥様は特にうちとけたご挨拶だった。正三君は家へ帰って転学の手つづきをすませた。それから月末ご三男様がお兄様方と一緒に大磯の別荘からお帰りになるとすぐおやしきへひきとられた。その折り裕助君は、
「正々堂々とやれよ」
といった。
「大いにやります」
「日曜にはきっと帰れよ。お母さんがさびしがる」