Japanische Klassiker mit Furigana
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くしんのがくゆう
苦心の学友
佐々木 邦
Lesen Sie 苦心の学友 (くしんのがくゆう) von 佐々木 邦 (ささきくに) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.732 Zeichen · 332 Bildschirme
「内藤君、きみはきっと一番だぞ」
と自分の方から問題にふれた。
「いや、僕はしくじりました」
「僕はきみと約束したぐらい上がれるつもりだが、もしいすわりだったらどうする? きみは帰ってしまうかい?」
「はあ」
「あんなに勉強させておいて、ひどいじゃないか?」
「男子の一言金鉄のごとし」
「安斉先生のまねをするなよ」
「精神一到何事かならざらん」
「逃げ出す方の精神一到なんか困る」
「いや、若様が精神一到です。今度はきっと上がっていられます」
「僕もそう思うんだけれどもなあ」
「大丈夫です」
と正三君は保証した。
休暇になってから三日めの朝だった。二人がお庭に下りてボールをやっているところへ書生の杉山が、
「照彦様、安斉先生がお呼びでございます。内藤君、きみも」
と探しにきた。照彦様は感心しない。
「なんの用だい?」
ときいたら、
「存じませんが、お急ぎのようでございました」
とあった。
「照彦様」
「なんだい?」
「成績が着いたのじゃございませんでしょうか?」
と正三君がいった。
「そうだ。今日だ」
と照彦様はたちまち駈けだして、
「杉山、そのバットを持ってこい」
と叫んだ。しかし杉山は正三君をにらんだ。