Japanische Klassiker mit Furigana
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くしんのがくゆう
苦心の学友
佐々木 邦
Lesen Sie 苦心の学友 (くしんのがくゆう) von 佐々木 邦 (ささきくに) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.732 Zeichen · 332 Bildschirme
きみ、相かわらず頼むよ」
「どうぞよろしく」
と正三君はニコニコしながら、ふところへ手を入れて、
「若様、手前はこういうものでございます。ヘッヘヘ」
と名刺を取り出した。
「どっこい」
と照彦様は飛びのいて、グルリとまわったと思うと、
「僕もこういうものだよ。ハッハハハ」
とやはり名刺をつきつけた。
「おやおや」
「きみもこしらえたのかい?」
「はあ。若様にごらんにいれて、羨ましがらせてさしあげるつもりでした」
「その手は食わない。僕こそきみがこしらえるといけないと思って、わざと黙っていたんだ」
「どうもおずるいですな、若様は」
「きみだってぬけめがないよ」
「ハッハハハ」
「ハッハハハ」
と二人は名刺を交換した。この年頃はなんでもおとなのまねがしてみたい。
「若様のは金縁ですな」
「うむ。それから裏を見たまえ。エヘン」
「ははあ。ローマ字ですね」
と正三君は感心して、
「これは僕が負けました」
といった。
「なあに、アイコだよ」
「でも僕のは較べものになりません」
「いや、きみのは肩書がついている。やっぱり学校のことを忘れないからええらい」
と照彦様は数日わかれていたなつかしさが手つだって、極上のごきげんだった。