Japanische Klassiker mit Furigana
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くしんのがくゆう
苦心の学友
佐々木 邦
Lesen Sie 苦心の学友 (くしんのがくゆう) von 佐々木 邦 (ささきくに) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.732 Zeichen · 332 Bildschirme
「よし」
「ジャンケン……」
と横田篠崎の両名が始めたとき、
「待ちたまえ。皆であたるんだから皆で籤にしよう」
と尾沢生はごく自然に計略を導きだした。
「それがいい」
と二人はすぐにジャンケンの拳をひっこめた。この時また一人がストーブから離れて、戸口へむかった。
「佐藤君、待ちたまえ」
と尾沢生が呼びとめた。
「なんだい?」
「きみは逃げるのか?」
「いいや」
「それじゃどこへゆく?」
「便所だよ」
と佐藤君は出ていってしまった。
「たちまわりがうまいや。花岡君、きみも便所かい?」
と尾沢生があらかじめ念をおした。他のものはどうでもいいのだが、照彦様にゆかれてしまっては、せっかくの苦心が水の泡になる。
「僕は逃げない」
と照彦様が答えた。
「感心感心。やっぱりえらいや」
「そのかわり籤も引かない」
「なぜ?」
「僕は泥棒はきらいだ」
「泥棒じゃないよ。ただ取って来るだけだよ」
「ただ取ってくれば泥棒じゃないか?」
「いや、僕たちは薪炭料を納めているから、物置きの中の石炭は皆僕たちのものだ、自分のものを持ってくるのが泥棒かい?」
「それじゃなぜ関さんがおこる?」
「きみは華族様だから鷹揚だね」