Japanische Klassiker mit Furigana
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くしんのがくゆう
苦心の学友
佐々木 邦
Lesen Sie 苦心の学友 (くしんのがくゆう) von 佐々木 邦 (ささきくに) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.732 Zeichen · 332 Bildschirme
「はなしたまえ。もう時間だ」
「はなさない。きさまを遅刻にしてやるんだ」
「きみだって遅刻になる」
「よけいなお世話だ。やい、家来! 正三位!」
といいざま、堀口生はグイッと引いて足をすくった。正三君はあやうく倒れるところをよろめいて、やもりのように小使い部屋の側面にへたばりついた。堀口生は投げそこねたとみると、こぶしを固めて突きにきた。活動で見おぼえた拳闘の応用だ。不良だからつまらないことばかり研究している。温厚な正三君もこうなると自衛上やむをえない。覚悟をきめて身がまえた。しかしその時、鐘を鳴らしおわった小使いの関が、
「こらこら!」
とどなった。この男は兵隊あがりで生徒監督をもって自ら任じている。堀口生はすぐに逃げていってしまった。
正三君はだまっていたが、一日心持ちがわるかった。おやしきへ帰ってからもしきりに考えこんでいた。堀口は落第生だから、年が一つ多い。図体が大きいから、あるいは二つ多いのかもしれない。したがって腕力も強い。
「一番強い奴が一番わるい奴ときている。そいつと始終喧嘩をするんじゃたまらない」
と思った。文明人も小学校から中学校の二、三年へかけては犬や猫と同じことだ。