Japanische Klassiker mit Furigana
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くしんのがくゆう
苦心の学友
佐々木 邦
Lesen Sie 苦心の学友 (くしんのがくゆう) von 佐々木 邦 (ささきくに) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.732 Zeichen · 332 Bildschirme
「できるもんか」
「おできにならなければおできにならなくてもいいです」
「いいことはない」
「ずるいことをするよりいいです」
「なんだ? 失敬な」
「照彦様」
「知らん。もう知らん」
と照彦様はそっぽをむいて歩いた。
おやしきへ着いてから正三君は自分の部屋にはいったまま出てこなかった。照彦様はもう遊びたくなったが、呼ぶのは負けたようでいまいましいから、
「ヘエン」
とふすまごしに咳ばらいをした。
「ヘエン、ヘエンヘエン!」
と再三やったけれど音さたがない。それで、
「やあ! 虎がきた」
「やあ! 駱駝がきた」
「やあ! 熊がきた」
と大きな声でさそいをかけていた。折りから廊下を通りかかった照常様が、
「なんだ? 熊だ?」
とききとがめた。自分のことだと思ったのである。照彦様はよせばいいのに、
「ヘン」
「なに?」
「ヘン、卒業までおあずかり」
「こいつ!」
「ちょっと学監室へ。ヘン。九官鳥ですよ」
とからかったものだから、照常様ははいってきて、
「失敬な!」
「ごめんごめん!」
「こら」
と腕をねじった。
「痛い!」
「さあ、どうだ?」
「もういわない。いいません。いいませんよ。内藤、内藤、助けてくれ」