Japanische Klassiker mit Furigana
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えいほんどじょうりくせんのぜんや
英本土上陸戦の前夜
海野 十三
Lesen Sie 英本土上陸戦の前夜 (えいほんどじょうりくせんのぜんや) von 海野 十三 (うんのじゅうざ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 35.727 Zeichen · 72 Bildschirme
彼は、非常梯子を上へのぼり切って、屋上へ出たものか、それとも、この非常梯子にとりついてそっと首を出していた方がいいのか、ちょっと迷った。
そのときであった。彼は、屋上に、二つの人影が動いているのを発見して、おやと思った。
(何をしているのだろう?)
空襲見物では、あまりに物好きである。彼は、自分のことは棚に上げて、そう思った。
その二つの人影は、屋上から躯をのりださんばかりにして、何か、映画に使うような移動照明器のようなものを、動かしている。
(おかしい。防空隊の照明班にしては、あまりに小規模だし……)
彼は、爆撃中の危険も忘れて、その二つの人影の行動に、好奇心を沸かした。そして、その傍へ行って見る気になったのである。
彼は、梯子を登り切って、その人影の方へ歩いていった。向うでは、彼が近づいてくるのに全然気がつかないようであった。
「ああ、あれは、アンじゃないか」
彼の心臓は、どきんと鳴った。
「何をしているのですか」
彼は、二人の傍へいって、声を懸けた。
「ああッ」
二つの顔が、一せいに彼の方へ向いて、そして歪んだ。アンと、もう一人は、ボジャック氏だった。