Japanische Klassiker mit Furigana
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たでくうむし
蓼喰う虫
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 蓼喰う虫 (たでくうむし) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 110.066 Zeichen · 216 Bildschirme
これも話の種だあね」
と、老人は取り上げるけしきもない。しかしそう云う当人も冷えて来るのがこたえると見えて、錫の銚子をアルコールの炉であたためながら、直ぐもう酒を始めるのであった。
「御覧、この辺の人たちはみんなわれわれのお仲間だね、ああして重箱を持って来ている。―――」
「なかなか立派な蒔絵のがありますね。中に這入っているものも、玉子焼きだの海苔巻だの似たようなものばかりじゃないですか。この辺では始終こう云う芝居があるんで、弁当のおかずも自然と一定しているんでしょうな」
「この辺に限ったことじゃあないさ。昔はみんなああだったんで、大阪あたりじゃつい近年までその習慣が残っていたあね。今でも京都の旧家なぞだと、お花見なんかには小僧に弁当と酒を提げさして出かけて行くのがたくさんある。そうして向うでちろりを借りてお燗をつけて、余った酒は又壜に入れて持って帰って酒しおに使うと云うんだが、実際ありゃあいい考だね。江戸っ児に云わせると京都の人はしみッたれだと云うけれど、出先でまずい物を喰うよりその方がいくら悧巧だか知れない。第一材料が分っているから安心してたべられる」