Japanische Klassiker mit Furigana
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たでくうむし
蓼喰う虫
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 蓼喰う虫 (たでくうむし) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 110.066 Zeichen · 216 Bildschirme
買い立ての白クロースの、ブリキのようにピンと尖った表紙の背を掴んでいる指には網目に編んだサファイア色の絹の手袋が篏まっていて、こまかい網の目の隙間から、研かれた爪がチラチラと覗いていた。
電車の中で彼女がこう云う位置を取るのは、それが殆ど二人で外出する時の習慣のようになっていた。子供がいればその右左へかけるけれども、そうでなかったら大概の場合、一人が腰をおろすのを待って一人が反対の側の方へ席を求める。夫婦は互に衣を隔てて体温を感じ合うことが窮屈であるばかりでなく、今では寧ろしてはならないことのように、不道徳なようにさえ思うのである。そして一つの車室のうちに向い合って置かれるだけでも相手の顔が邪魔になるので、美佐子はいつも眼の向けどころを作るために何かしら読む物を用意していて、席がきまると直ぐに自分の鼻先へ屏風を立ててしまうのである。二人は梅田の終点で降りて別々に持っている回数券を渡して、申し合わせたように二三歩離れて歩きながら駅の前の広場へ出ると、夫が先に、妻がその後から黙ってタキシーの箱の中へ収まって、始めて夫婦らしく肩を並べた。もし第三者が四つのガラス窓の中に閉じ込められた彼等を見たなら、二つの横顔が額と額と、鼻と鼻と、頤と頤とを押絵のように重なり合わせて双方が脇眼をふることなく、じっと正面を切ったまま